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更新料を取り戻せるかも知れません

更新料とは、賃貸借契約期限が満了し、契約の更新をするために、賃借人から賃貸人へ授受される一時金のことをいいます。
これまで、契約更新の際に支払われてきた更新料ですが、実は、更新料を支払わなければならないとする法律の規定はありません。
現在、更新料の取り決めを無効とし、既に支払った更新料の返還を命じる判決も出ており、更新料を取り戻せる可能性が出てきました。

以下、更新料の返還が命じられた2つのケースについて、見ていきましょう。

ケース〈1〉

平成21年7月23日に京都地方裁判所で、賃貸住宅の更新料の支払を義務づけた特約は、消費者契約法に違反し無効であるとの判決が出ました。これにより、賃貸人は更新料を全額返還するよう命じられました。

■概 要
平成18年4月に、更新料を2年毎に11万6,000円(賃料2か月分)支払うという契約を結び、京都市のマンションに入居した男性は、平成20年1月に更新料を支払い、同年5月に退去しました。
男性は、更新料の特約は消費者契約法に違反して無効であるとして、更新料の返還を求めて提訴しました。

■判決理由
更新料は、更新後に賃貸住宅を使用した期間の長さに関わらず、支払わなければならないもののため、使用収益の対価である賃料の一部とはいえない。
賃借人が更新料の趣旨を明確に説明された上で合意しない限り、信義則(民法1条2項)に反して賃借人の利益を一方的に害することになるため、消費者契約法10条に該当し無効であるとして、更新料全額の返還を命じました。

判決では、法定更新であれば更新料を支払う必要がないのに対し、この更新料特約では正当事由(借地借家法28条)の有無に関係なく支払わなければならないため、賃借人にとって大きな負担になっているとも指摘されています。

なお、この裁判で、原告の男性は入居時に支払った保証金35万円の返還も請求しており、賃貸人はこれについても全額返還するよう命じられました。

ケース〈2〉

平成21年8月23日に、大阪高等裁判所が、更新料支払条項を有効とした京都地方裁判所の判決(平成20年1月30日)を取り消し、更新料支払条項は消費者契約法により無効であるとして、賃貸人に更新料の返還を命じました。

■概 要
平成12年8月に、京都市のマンションを1か月4万5,000円で借りる契約を結んだ男性は、平成18年11月に退去するまで6回更新するうち、平成17年までの5回分、50万円を賃貸人に支払いました。
男性は、更新料条項が公序良俗違反(民法90条)、消費者契約法違反により無効であるとして、更新料の返還を求めて提訴しました。

■判決理由

  • 更新料条項が賃料以外に対価性の乏しい金銭的給付を義務付けるものであるから賃借人の義務を加重するものであること、
  • 更新料の目的、法的根拠、性質が明確に説明されていないこと、
  • 賃借人と賃貸人の情報収集力に格差があること、
  • 賃貸人の更新拒絶に正当事由を要することを規定する借地借家法28条の要件の記載が避けられたまま、更新料の支払いが義務付けられていること

などから、更新料条項は消費者の利益を一方的に害すると結論付け、消費者契約法10条に該当し無効であるとして、消費者契約法施行後の更新料全額の返還を命じました。

また、更新料が高額であるとも指摘され、更新料を併用することにより賃料を少なく見せることは、消費者契約法において許されることではないとも述べられています。

消費者契約法施行前の更新料条項については、公序良俗に反するとまでいうことは難しく、民法90条により無効とはいえないと指摘しています。(消費者契約法施行後については、公序良俗に反するかどうかの判断は留保。)

なお、この裁判で、原告の男性は未払い賃料を引いた敷金の返還も請求しており、賃貸人はこれについても返還するよう命じられました。

◎消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
◎民法
(基本原則)
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
権利の濫用は、これを許さない。

(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
◎借地借家法
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
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